<2> | ||
「……もう、嫌……!!」 一体、何度自分を女王にしたら、気が済むのであろうか……!? ロマリア王に対し、怒りが込み上げてくる。 自分は、こんな事の為に『金の冠』を盗賊カンダタから、 取り戻した訳ではなかった筈なのに……。 __でも、王様を見つけないと……。 徐に立ち上がり、胴を押さえつけるコルセットに身悶える。 とにかく、アイリはドレスを脱ぎたくて仕方がなかった。 「何してるんだ?」 不意に若い男の声で呼ばれ、驚愕して振り返る。 だが、彼の顔を見たとたんアイリの表情が綻び、 その首へすがり付くように両腕を回した。 彼はドレス姿の彼女に驚きながらも、目を細め、しっかり背中を抱き締める。 「……アクシズ……!!」 何ヶ月振りであろうか……。 懐かしそうに、アイリはアクシズを見上げ、嬉しそうに微笑んだ。 2人は互いに顔を寄せ、瞳を閉じると、軽く唇を重ね合わせる。 「どうして、ココにいるの?」 「イシスの依頼が終わったから、 ついでに寄ってみたんだ。 ……しかし。」 身を離し、紅いドレス姿のアイリを眩しそうに見つめ、 次に、困惑したように天を見上げ、アクシズは嘆息した。 「あの王は……。 本当に相変わらずだな……。」 「うん。 また、強引に女王様にされちゃって、困っていたの。 一緒に探してくれる? それに、このドレス、動きにくくって……。」 ドレスの裾を摘み上げ、アイリは苦笑する。 だが、何故か自分から視線を外さないアクシズに、 彼女は不思議そうに首を傾げた。 「私の顔に何かついてる?」 「い、いや……!! 正直、ちょっと惜しいかな……と。」 「え?」 驚いて自分を見るアイリから視線を逸らし、アクシズは咳払いした。 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |