「親分。悪いけど、抜けさせて頂きます。」 子分の一人が別れを告げる。 まあバハラタで、人攫(さら)い行動に走ってしまった俺の責任なんだが……。 俺か? 俺は、カンダタ。 大盗賊首領だ。……元な。 今現在は、逃亡中の身だ。 |
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「珍しいじゃないか。 カンダタが、人攫いなんてな。」 偶然、通りがかったアクシズに声を掛けられる。 面倒くせえなあ……。 「俺も、やりたくてやったんじゃねえ!! ある意味、人助けだったんだぞ!!」 「わかった、わかったから。」 アクシズの奴、明らかに顔が笑ってやがる……!! 「それもこれも、勇者アイリが現れてから、俺の人生が狂いやがったんだ。 あの、姉ちゃん可愛い顔して強えのなんのって……。 ぐお!!」 言ってる最中に、アクシズの拳が俺の顎にヒット!! 何か、お前に怒らせるようなこと言ったか? 俺が目を白黒させていると、アクシズが強い口調で言う。 「……今後一切、俺の前で『彼女』の話はするな!!」 「同じ『勇者』だから、ライバル視してんのか?」 俺が言うと、アクシズは目を逸らす。 ……いや、違うか。 ここから先は聞いても無駄だ。 こいつ、絶対答えねえ。 「でよお。 何で、こんな所までお前が来てんだ? 依頼か?」 俺が、話を切り替えると、アクシズは嘆息した。 「今回は依頼でも、ギルド依頼じゃない。 大神官バサラから調査依頼されている。」 「あのオッサンの依頼じゃ『無償』じゃねえか……。 お前さんもよくやるよな。」 「恩人だからな。 一応……。」 そんな、しけた顔すんな。 そういえば、アクシズの故郷って『サマンオサ』だったよな。 『ダーマ神殿』っていえば、丁度地球の裏側みたいなもんだ。 「暇だから、俺も行っていいか?」 俺が、問うとアクシズの奴、露骨に嫌そうな顔をしやがった。 __こうなったら、意地でもついて行ってやる……!! 「でも、カンダタの『欲しそうな物』は無いと思うぞ?」 「い〜〜や!! 絶対、有るね……!!!! お前の行く所は、大抵『宝』の山だ!!!!」 「それは、『アイリ』の方だと思うんだが……。」 __? 「お前、今、あの勇者の姉ちゃん『呼び捨て』にしなかったか?」 「……。」 黙っちまった。 まあ、少なくとも『ライバル視』では無いと解かった。 「で、何処行くんだ?」 俺が聞くと、アクシズは面倒くさそうに答えた。 「ジパングだよ。」 そりゃまた、辺境の地へ、ご苦労さんなこった……!! |
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