俺は、『あぶないビスチェ』を持って行くことにした。
袋から取り出し、自分の道具袋に入れる。

……何だか怪しいが、見えなければ大丈夫だろう。
<4>
瞬間転移呪文『ルーラ』詠唱で、リーザス村に到着。

アルバート邸に行く際、
共同墓地にいる老婆と目が合う。

な、なんだかヤバイ予感がするが……。

そのまま通り過ぎようとすると、
俺の道具袋が落ちる。

__タイミング悪い……!!

親切心からだろうが、婆さんは俺の道具袋を拾おうとして、倒れた!!
弾みで、中身が散乱し、『あぶないビスチェ』までもが剥き出しになる!!

「拾おうとして、起こされてたら、世話ないですね……。」

助け起こしたは良かったが、
案の定、老婆の瞳は不信感に満ちていた。

「変わった『ご趣味』をお持ちで……。」

__……!!!!?

『あぶないビスチェ』を俺が装備すると思っているらしい。
……んな事、出来る訳ないし、
いくら俺が美形でも、女装趣味など無い!!!!

気が付くと、人だかりが出来、
不思議そうな表情で俺を見つめている。

ご、誤解だ!!!!

「へ〜〜〜〜。
 兄ちゃん、美形だしな〜〜〜〜。
 確かに、似合うだろうな〜〜♪」
「ちょっと見たいかも……♪
 格好良い人って、何着ても格好良いって言うし♪」

ちょっと待て!!!!
話が変な方向に行ってるぞ!!!!
耐え難い状況に絶叫しかけたが、丁度、周囲が暗くなり、
夜の合図を告げるかのように星が瞬き始めた。

夜になれば、当然、村の住民達も帰宅する。
そして、1人取り残された俺は、嘆息して項垂れる。

__まったく……。いやらしい事は考えるものじゃないな……。

俺の自業自得だ……。
少し、反省。
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