俺は『宝石』を持って行くことにした。 要するに、レディに対する礼儀ってやつだ。 |
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瞬間転移呪文『ルーラ』詠唱で……と、 思ったが『宝石』といえば、『守りのルビー』くらいしか思いつかない。 __何とか誤魔化せばいいか……。 取りあえず、先にサザンビークのバザーに寄って、 プレゼント用に包んでもらうが、 店員のお姉さんが不思議そうに首を傾げる。 「ククールさん、いらっしゃいませ♪ あら? ホワイトデーのプレゼントで来られたエイトさんと、 同じ物を買っていかれるのですね。」 __は……!? 訳が分からず唖然としていると、青年に声を掛けられる。 ……青年と言っても、随分ポッチャリしているが……。 「ポッチャリとは失礼な!! 確かお前は、エイトの仲間の……。」 「ククールだ。 いいかげん、他の連中の名前を覚えろ。 それから、俺の思考を読むな!!」 「相変わらず失礼な奴だ。」 どっちが!!!! 「何しに来た?」 面倒くさそうに問うと、 奴は『偽物アルゴンハート』を出してきた。 「ソレがどうしたんだ? チャゴス王子様。」 「い、いや……。 父の教育が厳しいので、コレが原因だと思って、捨てようと思っていたのだ。」 『ヤンガスの教育』(山賊流)は、まだ続いていたらしい。 王子が『教育されている理由』は、他にあるんだがな……。 「そうだ!!」 思いついたように手を叩き、 チャゴス王子は俺に『偽物アルゴンハート』渡す。 強引に。 「俺に、捨てて来いと?」 「違う。 お前にやろうと思って。 庶民には手の届かぬ品だろう?」 __……近付きたくも無い品物だがな。 手の中にある『偽物アルゴンハート』を、奴に向かって投げ返す。 思わず受け止めたものの、目を白黒させ、王子は硬直する。 そして、俺に抗議。 「何をする!!!! 危ないじゃないか!!!!」 「……んなもん、自分で捨てて来い。」 「ふん!! もう『貴様』には頼まん!!」 おい、おい。 『お前』から『貴様』に変わってるぞ? ふと、カラスの鳴き声がし、 天を見上げると、星が瞬いている。 やれやれ……。 これじゃ、アルバート家も閉まっている。 あの家は、夜は入れてくれないんだ。 夜になったという事は……。 「お〜〜い!!!! 僕は、この城の王子だぞ!!!! 入れてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 もちろん、サザンビーク城も閉まっている訳だ。 |
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