俺は、『お菓子』をそのまま持って行くことにした。

麗しい姫様がせっかく(大量に)作ってくださった物だからな♪
<4>
瞬間転移呪文『ルーラ』で、リーザス村に到着。
教会前で走り回っている子供が2人。

「何だよ。
 偵察って言ってくれよ!!」

不機嫌そうに腰に拳を当て、
相変わらず、子供用の兜を被ったままの格好で、ポルクが歩み寄ってくる。
随分と偉そうな奴だな。
こっちは大人だというのに……?

上から見下ろし、睨み合いの格好になっている俺も大人気ないが……。

「ポルク。
 ご苦労様。
 あら、ククールじゃない。」

笑顔でやってくるゼシカが、
お鍋の上からマルクの頭を撫でるが……。

__あれじゃ、撫でられている気がしないな……。

嘆息。
苦笑しながらも、エイトに渡されたお菓子の包みを渡す。
実際、受け取ったゼシカよりも、少年2人の方が喜んでいる。

「姫様の手作りだそうだ。
 これだけの量も、彼等にかかれば、無くなるのも容易いだろ?」

「確かに、そうね。」

待ちきれず唾(つば)を飲み込むマルクに視線を移し、ゼシカが微笑む。

……子供好きなのか、優しいだけなのか。
俺にはどっちでも構わないけどな……。

「アローザさんは元気か?」

「母さんなら元気よ。
 最近、ククールが家に来なくなったから、
 仕事渡しすぎたかな〜〜…って、反省もしてたみたい。」

「いや、あの時はビックリしただけで、
 トロデーン城に戻ったのは、別の用事があったからなんだ。
 気を悪くさせたなら、すまなかった……。」

しばらく話し込んでいると、少年2人が静かだ。
ゼシカに失礼して、視線を逸らし探すと、
何と『お菓子』を平らげてしまっていた!!

到着してから、まだ、数時間も経ってないぞ……!!

知らぬ間に拳を握り締め、怒りに身を震わせる俺を制し、
ゼシカが苦笑する。

「まあ、まあ。
 どうせ、ウチじゃ、食べ切れなかったんだし。
 ククール。
 晩御飯くらいは寄ってく?」

「そうだな……。
 お言葉に甘えて……。」

……が。

「ヒューヒュー!!
 お熱いね〜〜〜〜♪」

冷やかすポルク達。
叩かずにはいられなかった。
まったく、いいかげんにしろよ……!!
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