指名手配書に描かれていたのは、
ブラウニーの『ブラウン』だった。

その手配書と、モンスター図鑑を照らし合わせ、
生息地を割り出す。
マイエラ周辺だから……。
<4>
__正直、行き辛いところもあるな……。

腹違いの兄貴マルチェロの『騎士団長の指輪』を、
道具袋から取り出し装備する。
攻撃力と賢さが同時に上昇する優れものだが……。

__マイエラ修道院に、二度と戻らないって事だよな……。

でなければ、権威の象徴である証を手放す筈が無い。

以前、俺の考え方がクールすぎると、
トロデ王に言われた事があるが、
それは人それぞれだし、仕方ないだろう。
俺だって、いつまでも子供じゃないんだ。

マイエラ周辺を見回し、
ブラウンの姿を探す。

__ああ、あんな所にいた……!!

「また、僕を『スカウト』しに来たの?」

ブラウンが、ビクビクしながら俺に問いかけてくる。
確か、強いスカウトモンスターが入りきらないから『お別れ』したんだ。

「いや。
 今回は、俺達の仲間って訳じゃなさそうだ。
 お前、モリーさんに何かしたのか?」

『WANTED』(指名手配書)を見せると、
受け取りブラウンは驚愕して、大慌てで語り始める。

「……戸棚にあった『ケーキ』をつまんだんだけど、
 アレって、モリーさんのだったのか……!!」

そ、そんな、しょうもない理由で手配書発行されてたのか!!?
でも、あのオッサンなら有り得るかもな……。

「反省してるんだし、新しい『ケーキ』を買って持って行けば、
 許してもらえるんじゃないか?」
「ごめんなさい。」
「俺に謝ってどうなるってもんじゃないだろ?
 謝るんなら、モリーさんに謝れよ?」
「はい。」

申し訳なさそうに俯くから、これ以上責める気も起こらなかった。
あ、そうだ!!

「ブラウン。
 マルチェロの事について、何か知ってるか?」

有るか無いのか判らない首を横に振って、
ブラウンは俺を見上げた。

バトルロード格闘場へ行ってから帰った方がよさそうだな。
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