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「え?
 今すぐトランプカード系のスペースを作ってくれって?」
ベルガラックの領主フォーグが、意外そうな顔をする。
「そう、突然言われてもなぁ。」

ククールが変な要求を言い出したものだから、
彼を困惑させる結果となった。

「でも、お兄ちゃん。
 それって新しい試みで良いかもよ?」
「だろぉ?
 ユッケ。」
同意傾向を見せる、もう一人の領主ユッケに、
ククールは「あと、もうひといき」と調子に乗る。

「でも、テーブルスペースは『ルーレット台』と、
 『ビンゴ台』で既に埋まっているからなぁ。
 それに、カードゲームの役毎に細かい倍率設定が必要になるし。
 更に『イカサマ』防犯警備員もつけなければいけないだろ?」
「確かにそうだよね。
 かなりの動体視力の持ち主を警備につけないと、
 カード系は『イカサマ』が多いから。」

フォーグとユッケは非常に現実的に、
可能か不可能かプランを練っている……。
それもかなり綿密に……。
やっぱり、この二人は領主であり、経営者なのだ。

__俺も、一国を支えるときは、こう在るべきなのかな……。

俺が二人のやり取りを感心して見ていると、
ただ一人、焦れているカリスマ策士が横にいる。

「あ〜〜〜、もう解かった!!
 無理なんだろ!!
 ……っで、エイト!!」
「何?」

「今度は絶対取り返すから、10000G貸してくれ!!」
「何〜!?」

……一度コインに変えると、お金は戻ってこないし、
もし失敗したらそれこそ大損失なんだぞ!!!!

「駄目だ!!」
「何でだよ!?」

「国の資産を無駄に使われてたまるか!!
 あれは、皆の大事な給料にもなるんだぞ?
 今後の外交経費も必要になってくるし。」

言ってしまって気が付いた。
……何だか、あの帝王学の書物が頭に入っている感じがするな〜。
一同はというと、唖然としている。

「……エイト。……まるで王様みたいよ?」
「ああ。威厳もあったしな。」
「まさかお前から、そんな発言がでてくるとは思わなかったよ……。」
3人は、頷きながら納得している。

結局、ククールはフォーグからコインを借りて、
摩った分のコインを取り返してくれた。

「何故かお前がいると、当たるんだよな〜……。」
「これに懲りて、もうやめてくれよ!!」
「は〜い。すいませんでした〜、次期国王陛下。」

ククールのふざけた返事に怒りつつ、
俺は自分の方向性が解かってきた気がした。

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DQ8『小説』CONTENTS