<An Introduction>
「後のことはお前達で決めるとよいぞ。」

サヴェッラ大聖堂で、結婚式を終えたエイトとミーティアは、
トロデーン帰国後、
トロデ王から激励の言葉をかけられる。

そして、誰もがその平和が長続きするもの……と、思ったのだが、
現実は厳しいらしい。
<1>
「コレは何ですか?」
目の前の机に置かれた分厚い書物の山を見て、俺は狼狽する。
そういえばトロデーン城内、図書室にある書棚の中身も、ごっそり無くなっていた。

「何って、エイト。
 帝王学の書物じゃよ。」

我が君主のトロデ王が、いかにも当然と言った口調で普通に言う。

「帝王学?」
「全部で24巻ある。」
「そ、それを、全部覚えるのですか!?」
「な〜に。別に1日でやれと言ってるわけじゃないから安心せい!!」

__いったい何ページあるんだろう?

「とにかく、お前は戦闘は大したものだが、
 『兵法』はからっきしだったではないか!?」

……。
確かに。スイマセン……。
でも、あの『兵法』って実用性無かったんですけど……。

「でも、まあ。
 『錬金法』と『魔物図鑑』はコンプリートしているから、
 後は楽なもんじゃぞ♪」

そしてトロデ王は、今度は俺の方を向き……。

「我が娘、ミーティアを嫁にやったのだから、
 エイトにはしっかり次期国王になってもらうからの!!!!」

と、怒鳴った。
周囲の窓ガラスがビリビリ震える。

__やっぱり、最初からそのつもりだったんだ……。

……でも、きっと父が生きていて、
俺がサザンビークにいても同じ結果になっていたに違いない。
そう言ってしまうと、俺には最初から将来の選択の余地など、
無かったのかもしれないが……。

「でも、その間『近衛隊長』の仕事はどうするんですか?」
「な〜に。
 ほっとけばよい!!
 いざとなったら、エイト一人で『ギガデイン』でも使っておけば、
 簡単に撃退できるじゃろ。」

……て、
勇者専用高等呪文を、そんな風に軽く言わないで下さい!!!!

「とにかく。1週間に一度、抜き打ちテストするから、そのつもりで。」

そう言って、王は平然と俺の部屋から出て行った。

……でも、姫の為にも、ここで逃げるわけもいかない……。
俺は観念して席についたのだった。

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