<3>
「良かったのか?」

ラダトーム城下町、城門前。
オルテガが、アクシズに話し掛ける。

「いいんです。
 俺は、そんな事の為に闘っていた訳ではないし。
 オルテガさんこそ、いいんですか?」
「私は、何もしていないからな。」
「何もしていないって、そんな事ないのに……。」
アクシズは言って、自分の頬を擦(さす)る。
オルテガは苦笑した。

「手酷くやられたな……。」
「ええ……。
 グレイって奴が、会うなり思いっきり……。」

__これ以上、アイリを泣かすな……か……。

グレイが言っていたことを思い出し、アクシズは苦笑した。
自分でも解かっていたが、実際はっきり言われると辛いものがある。
オルテガも、自分も人の事が言えた義理ではないので、
それに関しては、彼のフォローが出来なかったのだ。

「私達は、似ているのかもな。」

「俺が、オルテガさんとですか?」

「君は、まだいい。
 だが、私は自分の『大切な人』に、もう何年も逢っていない……。」

「でも、ルシアさん。
 オルテガさんが崩御したと報告があっても、
 誰とも再婚せずに待っていたみたいですから。」

「……そうか。」

アクシズの言葉に、オルテガは俯いた。
きっと、ルシアはオルテガが生きていると、信じていたのだろう。
ふと、再会したアイリが返してくれた、
自分の結婚指輪を見つめる。
アクシズは、そんな彼を見て嘆息すると、温かく微笑んだ。

「オルテガさん。
 今度こそ、ルシアさん離しちゃ駄目ですよ。」

「そうだな……。
 ありがとう。アクシズ君。
 アイリを頼んだよ。」

「はい……!!
 オルテガさんも、お元気で。」

握手を求められ、握手を返す。
オルテガとアクシズは、お互い顔を見合わせ微笑んだ。
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『DQ3』外伝CONTENTS